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天に堕ちる

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出張ホストを買う孤独な女・りつ子。
自殺願望のある風俗嬢・茉莉。
八人の女と同居する中年男性に安らぎを求める加世子。
アイドルのおっかけに夢中の高校生・奈々美。
女になりすましてメールを書く淋しい青年・光。
息子を溺愛する有名女優・黎子
―彼らが求めたものとは?欲しかったのは、当たり前の幸せだった。
「幸福」にも「愛」にも、色んな貌がある。
10篇の天国と地獄の物語



お出かけ電車で読むのにちょうどいいと友だちが進呈してくれました。
先が知りたくなるストーリーは、集中しやすく、すぐ読めてしまいます。 
どの話も、最後にはオチが用意されていて、なるほど~と
ちょっとため息ものの結末でした。 
その中に、日常に潜む孤独がひしひしと伝わってきて、ちょっと背筋も寒くなります。
普通の当たり前の幸せを手にいれるのが、いかに困難か、
昭和の時代より厳しい昨今を感じます。 
文庫の特典、最後の解説が、また素晴らしく、”自分から逸脱の道を選ぶ女性”
と、この主人公たちを表現してますが、一歩ずれれば、誰もがそんな道に入り込んで
しまいそうな現代社会。 
そのあやうさが、これらのストーリーの原点でしょうか。
解説では、18世紀のセアラ・フィールディングという女性作家が引き合いに出されていて
それが、興味深い内容で(書くと長くなるので頭の中にだけ)
あぁ、解説とは、こういう派生があってこそ、解説らしいのだなと、
妙に納得しました。 
あげくは、そのあとに触れられた、セアラの兄のヘンリー・フィールディングの
『トム・ジョーンズ』という小説、読んでみたくなりました。 
このセアラのあとの時代がジェーン・オースティン。 
高慢と偏見、映画となったの見損なったので録画したのを見るのが楽しみ。 
というわけで、1冊の本から、あれこれ思うのでした。
by kimikitak | 2014-01-14 19:49 |
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