天使のナイフ
生後五ヶ月の娘の目の前で惨殺された妻・祥子。 夫・桧山貴志は耳を疑った。 犯人は、十三歳の少年三人。 四年後、犯人の少年の一人が殺され、 桧山は疑惑の人となる。 少年たちの事件後を追う桧山に付き付けられた、 信じがたい真実、恐るべき過去――。 更生とは何か。本当の贖罪とは何なのか。少年法をめぐる論争の死角に迫るとともに、 ”読み出したら止まらない”ミステリーの醍醐味を両立させた、 選考委員も絶賛の話題作、ついに刊行!! 第51回江戸川乱歩賞受賞作。 そろそろ忘れそうになっている、過激な内容にもかかわらず。 ちょっとずつ思い出す。 主人公桧山は両親を交通事故で失っている苦労人、スタバのようなカフェを営んでいる。 そこでアルバイトしていたのが祥子。 この話の登場人物は、生活の表面上見えてくるキャラではなく、 みな何かを隠し持っている、たたけばホコリなんてものじゃないところが この話のミソでした。 その人物たちが思わぬところで繋がっているという 人間関係が、ちょっとありえない偶然と思ってしまいましたが。 それゆえ、結末は想像以上の展開となって、驚きつつ読みました。 些細なことから嵌っていくイレギュラーな道。 あのとき、こうしていれば…と思わずにいられないことの連続です。 少年法という壁にいどんだ作品、人物表現の妙でしょうか、読み応えがありました。 夜を急ぐ者よ ベストセラー「笑う警官」の佐々木譲が贈る渾身のハードボイルドサスペンス! 10年の空白を超えて、ひつの情念画燃え上がる。 追われる男と待ち続ける女として。 台風で荒れ狂う南国、那覇を舞台に、 かつて愛し合った男と女が劇的な再会を果たす。 しかし、男には執拗な追っ手が・・・・。 ’70年代、荒井由美、映画カサブランカ、カート・ヴォネガット、 レイモンド・チャンドラー・・・・。 甘い香りとダンディズム に満ち溢れた青春。 警察小説の第一人者である著者の初期を代表する名作。 佐々木譲ファン必読の1冊 初期の作品ということで、時代も70年代。 池上冬樹氏の解説が素晴らしくて、内容の理解が深まります。 いろいろ出てくる固有名詞は、佐々木譲の好みであろうということで 時代背景の説明も、懐かしさを覚えながら確認しました。 ただ、この話は期待した以上ではなくて、というか私好みではなかった。 主人公泰三にあまり魅力を感じなかったからかもしれない。 前に読んだ『夜にその名を呼べば』が、感動ものだったので、 こちらはちょっとゆるく、中だるみして、哀しい結末にも あまり感情移入できなかったのでした。 解説では、素晴らしさは強調されてましたが、 私にはあの時代を思い出したノスタルジー的魅力のみが心に残りました。 真昼の月をおいかけて橿原神宮、明日香、山辺の道…。 失踪した一人の男を捜して、奈良を旅する二人の女。 それぞれの過去と現在を手探りしながら続く、 奇妙な旅の行き着く先は?奈良を舞台に夢と現実が交錯する旅物語。 奈良を旅するがごとくに読めるミステリーかと思って 手に取りましたが… 不可思議な話で、すごくおもしろいとはいえなかった。 奈良を進んで行くのに、もっとワクワクするかと思ったのですが、 それが少々めんどうになってしまう成り行きでしたが、 がんばって読み進みました。 途中、別役実の’愛のサーカス’という童話が、唐突に 入ったりするのですが、それは何故?と、理解に苦しんだり、 その他の引用にも、なかなかついていけなかったのでした。 この話には、精神的な問題が多く、 『夜のピクニック』のようなすがすがしい話と違って、 かなり疲れましたが、結末は意外で、すべてはそこへ持っていくため だったのかと、ようやくたどり着き、まあ途中投げ出さないでよかったです。
by kimikitak
| 2011-06-02 00:16
| 本
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