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人魚眠る家

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娘の小学校受験が終わったら離婚する。
そう約束した仮面夫婦の二人。
彼等に悲報が届いたのは、面接試験の予行演習の直前。
娘がプールで溺れたー。
病院に駆けつけた二人を待っていたのは残酷な現実。
そして医師からは、思いもよらない選択を迫られる。

過酷な運命に苦悩する母親。その愛と狂気は成就するのか。
愛する人を持つすべての人へ。感涙の東野ミステリ。



姉から図書館からのこれが回ってきて、2日で読めるからと
ムリだと思ったけど、660人待ちだというので急いで読んだ。

瑞穂とその弟をあずかってプールに連れて行ったのは
薫子の母親と妹 
溺れたというより、排水溝に手が挟まって動けなくなった瑞穂。 
ICUに運ばれた瑞穂は脳死と医師から告げられ、
臓器提供の選択の意思を確認される。 
夫の浮気への不信感から離婚寸前のふたりの前に共通の課題が。 
一夜考えるという、両親。 
さて、わが子だったら、わが孫だったら。 
気の毒なのは、あずかっていた薫子の母親。 
代わりに死にたいとボロボロ。わかるこの心境。
答えをださなくてはならない、翌日、瑞穂の手がちらっと
動いたことにより、臓器提供どころか、瑞穂をこのまま生かしておきたい
と考える薫子。 
播磨テックスという最先端技術の会社を経営している夫、 
財力と技術力で、瑞穂の自呼吸をさせることに成功。 
これは、今の技術では無理なのではないのかな? 
そのことによって、仮面夫婦も仮面のまま離婚せずに瑞穂を
見守り、家に連れて帰ることになった。  
そこから始まる、苦闘の日々。
周囲の人を大勢巻き込んで、狂ったように瑞穂の世話をする薫子。 
実家の母親も、もう薫子のいいなりに。 
そこからは、最先端技術を駆使して、車いすで外出もできるのである。 
でも、とっくに脳は壊滅状態なのにもかかわらず、あたかも
手足が動いているような、そんな日々。  
ミステリーというか、脳死、臓器移植がテーマの人間模様とでも
いうような作品。 
思ったより、読み進むのは大変だったし、イライラ感もわいたけれど、 
考えさせらるとことはいっぱいあって、医療に関しても少々
詳しくなった感じ。 
よかったのは、各々の人の心情がうまく描き書かれていたことでしょうか。
薫子の両親、妹、姪、播磨テックスの社員とその恋人、
瑞穂の弟の心の中も、大変に複雑。    
最後は、うまくまとめて、少々リアルにいい方向が見えます。    
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by kimikitak | 2015-12-20 14:36 |

最後の証人

e0117945_1541381.jpg元検察官の佐方貞人は刑事事件専門の敏腕弁護士。犯罪の背後にある動機を重視し、
罪をまっとうに裁かせることが、彼の弁護スタンスだ。
そんな彼の許に舞い込んだのは、状況証拠、物的証拠とも
被告人有罪を示す殺人事件の弁護だった。果たして佐方は、
無実を主張する依頼人を救えるのか。
感動を呼ぶ圧倒的人間ドラマとトリッキーなミステリー的興趣が、
見事に融合した傑作法廷サスペンス


ずーっと前に読んで、しかもかなり夢中になって読んだのに
うっすら内容をわすれかけ。 
ネット見てたら テレビドラマ化されたのを知って見逃してショック。
坂田貞人のシリーズで、前に読んだのは検事だった坂田。
今回はやめ検弁護士の坂田。 
テレビでは、この坂田を上川隆也が演じたらしく、それはぴったりかた
思いました。 
この話は、有力者の酔っ払い運転に息子が事故死させられた医師夫婦の
復讐まがいの話。 
無罪となってしまった有力者に大杉漣 これもピッタリはまっりそうです。 
坂田の細かいことを見逃さない右京さんのような臭覚で
真実が明らかになっていくのですが、途中、かんの悪い読者はだまされそうに
なるしかけがあったような。 
もちろん、だまされるタイプの私は、それゆえよけいおもしろく感じたのかも。 
読み応えのある作品、また、坂田シリーズ、挑戦してほしいと願います。
坂田以外の作品は読んでないので、わかりませんが
お留守中のアリスさんのところでみた、〈孤狼の血〉は読んでみたい気がしました。
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by kimikitak | 2015-12-01 15:32 |

はぶらし

e0117945_2013436.jpg10年ぶりに会った友達を、
どこまで助けたらいい?
揺れる心が生み出した傑作ミステリー!

脚本家の鈴音は高校時代の友達・水絵と突然再会した。
子連れの水絵は離婚して、リストラに遭ったことを打ち明け、
1週間だけ泊めて欲しいと泣きつく。
鈴音は戸惑いながらも受け入れた。だが、一緒に暮らし始めると、
生活習慣の違いもあり、鈴音と水絵の関係が段々とギクシャクしてくる。
マンションの鍵が壊されたり、鈴音が原因不明の体調不良を起こしたり、
不審な出来事も次々と起こる。
水絵の就職先はなかなか決まらない。
約束の1週間を迎えようとしたとき、
水絵の子供が高熱を出した。
水絵は鈴音に居候を続けさせて欲しいと訴えるのだが……。
人は人にどれほど優しくなれるのか。
救いの手を差し伸べるのは善意からか、
それとも偽善か。揺れる心が生む傑作ミステリー!


タルトタタンの夢 サクリファイスと 風合いの違うストーリーを2冊ほど
読んだと思う、ところが、今度のはとてもイライラするミステリー 
イライラするということは、そのぶん、その先が気になるスリリングな展開。
この手の迷惑な隣人やら、入り込んでくる人の映画は
よく外国映画で見る。そのイライラ感とほぼ一緒だけれど、 
他人事ながら恐怖感も味わうのである。 
タイトルの’はぶらし’ そこにすべてが表れているともいえる。
最初の日に、余分があれば歯ブラシを貸してほしいという水絵。
後日、歯ブラシは買ってきたけれど、新品もお金も返すこともない
水絵。 
たかが歯ブラシ、でもそのことに違和感を感じる鈴音。
そこがそもそものことの重大さを感じさせるしかけ。
他人を家にいれるといれるということは、それ相応の覚悟がいる。 
最近はやりのシェアハウス、それこそも大変そうと思えるが、
一人の空間から、他人と調和をはかる生活に、すっかり疲れた
鈴音の気持ちがよく伝わってくる。しかも無賃。 
結末はそれなりに、大きくなった水絵の息子のことばで
すべては明白になるが、全編を通して、ちょっと背筋が寒くなる
雰囲気をかもした話で、こわおもしろかった。 
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by kimikitak | 2015-11-13 20:39 |

月下上海

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スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子は、
戦時統制下の日本を離れ、上海に渡った。謀略渦巻く魔都・上海で、
多江子が出会う四人の男たち。
憲兵大尉・槇庸平、民族資本家・夏方震、
医学生ながら抗日運動に身を投じる黄士海、
そして多江子の前夫・奥宮瑠偉。いま、運命の歯車が回り始める―。
第20回松本清張賞受賞!



以前みたテレビ番組で食堂のおばちゃんこと山口恵以子さん を知り、
彼女の作る食堂のごはんがあまりにもおいしそうでビックリ、
そんな忙しい人が書く小説に興味がわき、受賞作を読んでみました。
上海の様子が目に浮かぶようで、
当時の租界の活き活きとした様子や、一転地元民のあぶない界隈など
行ったこともない上海にノスタルジックな気持ちになりました。 
ストーリーはわりと展開がはやく、登場人物も戦時下ということで
濃い人たちばかり。
主人公の多江子は情熱の人。手ごわい女。とりまく男たちも、ただものにあらずで、
誰かモデルとなる人物がいるのかと思いましたが、そうでものないようでした。
(菊池寛など実名ででてきたので)
すとんと場面も移動して、少々読みにくい部分もあったものの、
全体的にハラハラして、おもしろかったです。
生きていくのに必死だった時代、立ち向かう派のお嬢様は、
いつ何どきでも、強く美しい。 こんな激しい人は、お付き合いしたこと
ないのでわかりませんが、魅力的に描かれてました。 
壮大な話なんだけど、感銘を受けるというより、エンタメ作品と云った
感じでしょうか。 

この話のあとは、一転、「食堂のおばちゃん」を借りてみました。 
角川春樹さんに、食堂の話を書いてと言われてたようです。 
  

 
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by kimikitak | 2015-10-09 11:51 |

長いお別れ

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帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。

東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、
十年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、
娘が三人。孫もいる。

“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”
といわれる認知症。
ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、
迷子になって遊園地へまよいこむ、
入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁--
日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、
終末のひとつの幸福が描き出される。
著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。


2010年 「小さいおうち」で直木賞を受賞した著者の最近の作品。
予約待ちが長いわよ、と借りた姉が回してくれたので、
急いで読んだ。 テーマは重いものの、爽やかにユーモラスに描かれてるので
あっという間に読めます。
8篇からなる連作集で、認知帳を発症した父親の介護の日々を中心に
東家の家族たちの10年間が描かれてます。
 ・全地球測位システム
   12月の父親の誕生日に娘を集める母
 ・私の心はサンフランシスコに
   サンフランシスコに暮らす長女のもとへいく老夫婦。 
 ・おうちへ帰ろう
   アメリカからしぶしぶ帰国した兄弟と祖父のかけあい 
 ・フレンズ
   お葬式に出席した昇平、かつての同級生とのかみ合わない会話。
     この話がいちばん傑作で大笑い
 ・つながらないものたち 
   大震災がおこり、心配する娘たちとその後の東家 
 ・入れ歯をめぐる冒険 
   昇平の入れ歯がなぜかすぐになくなる 
   ここは介護の大変さがあれこれ。
 ・うつぶせ網膜剥離
   介護をしていた母曜子が、網膜剥離を発症。 
   網膜剥離の手術後は下を向いていないといけないそうで、
   夫の介護にはやく帰りたい曜子が必死でうつぶせにしている姿が
   健気
 ・QOL 介護施設 
   介護施設を探す娘たち 

全体を通して、介護をする母親の曜子が、困難な日々にもめげずに 
夫の介護を自分の力であきらめることなく、なしとげようとする姿が、とても優しく、立派。
また、娘たちも、そんな両親を遠くに離れていてもあたたかく励ましたり手伝ったり、 
とてもまっとうな家族の姿だなと思いました。
10年とは長い日々。少しずつ変化していく元校長先生の日々も
長かったことでしょう。 
読後感は爽やか!  
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by kimikitak | 2015-10-04 10:12 |

検事の死命

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2012年度の山本周五郎賞にノミネートされ、
2013年度大藪春彦賞を満場一致で受賞した『検事の本懐』
——TV、新聞雑誌で話題沸騰、法曹会からもエールを
おくられる著者の受賞後第一作です。
検事の矜持をかけて権力との激闘に挑む力作中篇「死命」、
『ザ・ベストミステリーズ2013(推理小説年鑑)』
にも選ばれた傑作短編 「心を掬う」、感涙必至の“帰郷小説"
「業をおろす」を収録した検事・佐方シリーズ最新刊。
いまミステリー界で熱い注目を集める『このミス』
大賞作家・柚月裕子の、大いなる飛翔を告げる、渾身の一作!



郵便物紛失事件の謎に迫る佐方が、手紙に託された老夫婦の心を救う「心を掬う」。
感涙必至! 佐方の父の謎の核心が明かされる「本懐を知る」完結編「業をおろす」。
大物国会議員、地検トップまで敵に回して、検事の矜持を貫き通す「死命を賭ける」
(『死命』刑事部編)。検察側・弁護側——双方が絶対に負けられない裁判の、
火蓋が切られる「死命を決する」(『死命』公判部編)。
骨太の人間ドラマと巧緻なミステリーが融合した佐方貞人シリーズ第三作。
刑事部から公判部へ、検事・佐方の新たなる助走が、いま始まる!


検事の本懐に続き、こちらを。
それはもう、読まずにはいられませんでした。 
だいぶ前に読み終え、その後のやめ検弁護士になった
’最後の証人’も既に読了。弁護士になった佐方は、上川隆也で
ドラマ化されたようでした。テレビで見なかったのは残念。 

さて、本書はやはり期待にはずれることなく良かったです。
2編目の
業をおろす、とはまさにその通りで、
佐方の父である弁護士の、不名誉がいよいよもって晴れます。
感動の場面の連続でひきこまれること必至。 

死命の2編は、上層部の圧力に屈せず
裁判でたたかう、佐方の姿が魅力的でした。
最後の結果に溜飲が下がります。 
読んで爽快な気分になる、お話はなかなかなくて、
著者の柚木裕子さんに感謝したいところです。

アリスさんのレビュー
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by kimikitak | 2015-10-01 16:27 |

幸福な生活

e0117945_1425074.jpg 「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。
こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?二人の関係はバレたのか?
動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。
妻の目を盗みキスを迫る。そしてボディタッチ。
彼女の目的は何か?平穏な結婚生活を脅かす危機。
俺は切り抜ける手だてを必死に考えるが…(「夜の訪問者」より)。
愛する人の“秘密”を描く傑作集!


軽く読めるショートストーリーと思って旅行中にほんとに軽く読みました。 
最後ページをめくるとラスト1行、
衝撃のオチということで、期待が高まりますが、
な~んだというオチもあったりもしましたが、 
でもおもしろい発想のものも多く、ドキドキする感もあり、
とりあえずおもしろかった旅友本でした! 
もうだいぶ前に読んだので忘れかけてますが、
Wiki にあらすじが出てて思い出しました。
バリエーションに富んだ内容で発想が豊かだと思います。
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by kimikitak | 2014-10-23 14:26 |

銀翼のイカロス

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半沢直樹シリーズ第4弾、今度の相手は巨大権力!
新たな敵にも倍返し!!

頭取命令で経営再建中の帝国航空を任された半沢は、
500 億円もの債権放棄を求める再生タスクフォースと激突する。
政治家との対立、立ちはだかる宿敵、行内の派閥争い
――プライドを賭け戦う半沢に勝ち目はあるのか?


図書館からのレンタルを姉からまわしてもらい、
新作をいち早く読めました。
半沢直樹シリーズ、テレビのおかげでキャストのあの人、
この人の顔がちらちら。
今回は、政権交代とJAL再生がモチーフ。 
ゆえに、登場人物が現実では誰かも思い浮かべたり、検索しつつ、
ああ、あのときの…などと納得しながら読み進むのは面白かったです。 
悪人は銀行内部も政治家もどこまでも悪く、浅はかで私利私欲のかたまり。
いつものように半沢が最後は成敗してくれると思うと、安心して楽しめる
夏のエンタメでした。
実際にこんな人がいるの?というほどの誇大表現はいつものことですが、
だからこそ、どんどん先を読みたくなるのでしょうか。
また、テレビドラマになったらと思うと楽しみがまた増えますが、
いつのことでしょう? 
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by kimikitak | 2014-08-22 06:01 |

庭の桜、隣の犬

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夫婦が暮らす どこでもない場所

夫婦って、家族ってなんだろう?
愛でも嫉妬でもない、なにかもっと厄介なものをど真ん中に抱えて、
私たちはどこへ向かうのだろう? 
3LDK35年ローン、郊外のマンションに暮らす30代夫婦の生活を揺らす、
さざ波のような出来事を通して、現代の家族のあてどない姿を
リアルに描いた傑作長篇小説。



記憶系の天才少女だった房子。 
駅名とか、国旗とか、やたら覚えている少女だった頃、テレビに出て
もてはやされた過去がある。 
上海ツアーで知り合った宗ニと房子、しれっとした夫婦で
熱い思いを抱くでもなく、おもしろ楽しく暮らすわけでもなく、 
現代の30代夫婦、我々とはギャップがあるにしても、なかなか理解しにくい二人。 
どこにでもいる夫婦とは言いがたい、子どももいなくて、何を目標にするでもなく
あてどない二人。 きっと友だちになるのは難しいタイプ。
角田光代らしいといえばいえる、ちょっとひねった会話や、客観的視点、
とにかく活き活きしてないような感じに好感が持ちにくいので、少々読むには難儀でした。 
仕事場近くに小さな部屋を借りるという夫に、複雑な思いの房子。 
宗ニの母が、どこか田舎から上京、第二の人生を歩もうと 
お見合いパーティに参加するといった、ビッグなできごとに翻弄される。 
宗ニ母、苦労人のようで、言動も少々ガサツ。この手の言葉遣いには
ひいてしまいそう。 
房子との掛け合いもおもしろいものの、相容れないままの様子。 
そんな雰囲気をうまく描いているのはさすがですが、なんだか
やる気ない房子に、イラッとします。 
思えば、登場人物全般に、好感度の高い人物がいなくて、読みつつ
イラッとすることが多かったかも。 
部屋を借りたがゆえ、会社のバイトのキテレツな女と浮気まがいに陥る宗ニ、 
そのキッパリしない様子にも腹立たしさが… 
ひょっとすると、イラッとわざとさせる?角田先生の狙いかな?と
思えるほど。 
う~ン、殺人事件読んでたほうがスッキリするかな? なんて思っちゃいました。 
オシャレな言い回しとか、とっても凝ってる文章だと思うのですが、
成り行きもミステリアスだったりもしますが、どうもなんだかな~と思いつつ
とうとう最後まで読みました。  
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by kimikitak | 2014-05-28 21:09 |

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暴力はやってくるのではない。帰ってくるのだ。
理不尽をかいくぐり生きのびた魂に、安息は訪れるのか。
三浦しをん、渾身の最新長編。
天災ですべてを失った中学生の信之。
共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。
二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・輔が姿を現わす。
あの秘密の記憶から、今、新たな黒い影が生まれようとしていた――。



桜の季節、皇居の乾門の前に並びながら、往復電車で読了。 
春のいい季節の中、またしても重苦しく激しいものを、それでも三浦しをんと思えばこそ
終着点までどっぷりとつかりました。 
まずはこの天災ですが、島を襲った津波なのです。 
そこで、発刊はいつか確かめたら2008年。  
あの津波よりも前に、こんなリアルな津波を描いてたことに驚きました。
中学生とはいえ、島という閉鎖的な環境で育つ主人公たち、少々おとなびているというか
ませた子ども。 
信之と美花は親密につきあっていて、へばりつくようについてくる輔(タスク)は、
父親から果てしない暴力を受けている。 
それがわかっていても周囲は、救うことなく見放している。 
信之は自分のそばを離れない輔を疎ましく思っている。  
そんな3人と生き残らなくてもいいのでは?の暴力父親や、美花に執着する
余所者のカメラマンなど、この先を暗示させる面々が生き残った。 
そこで起こった事件、その秘密をかかえたまま
舞台は20年後。 信之は家庭を持ち、娘も生まれる。 
美花はその美しさゆえに女優として活躍している。  
いつまでも美花への愛を全うしようとする信之。    
二人の秘密を知っている輔の影。信之の妻南海子と輔の歪んだ関係。 
輔の前にまたしてもあらわれる暴力父親。 
島でからんだ糸が、暴力と愛で、不穏な様相を呈していくのですが、 
後半はかなりハード!  
終わりに再生があるのかといえば、そういうわけでもなく... 
この先も果てしなく続く人生が残されている。  
光というタイトルは、何を意味しているのか、最後に感じることになるのですが、
なかなか複雑な思いになるお話でした。 
でも、読ませるしをん先生、実に多岐にわたるテーマにとりくまれるのだな、と
だからこそ小説家ってすごいプロなのだと、あらためて感じました。
映像化してもよさそうな作品でもあります。
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by kimikitak | 2014-05-10 18:00 |