カテゴリ:本( 153 )

ナミヤ雑貨店の奇跡

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あらゆる悩みの相談に乗る、不思議な雑貨店。
しかしその正体は……。物語が完結するとき、
人知を超えた真実が明らかになる。
すべての人に捧げる、心ふるわす物語



久しぶりの東野圭吾 
読み始めて、タイムスリップする話だとわかり、ちょっと私が敬遠したい話しかと
思ったのですが、あにはからんや、どんどんおもしろくなりました。 
短編連作の形式で、最後は物語の完結にふさわしく、おもしろく読めました。
あらすじは→ ココ
タイムスリップといえども、行き当たるのは、いとしのエリーや、ビートルズ。
私が青春だった時代が、タイムトラベルの対象になってます。 
これが、興味をそそられないはずもなく、 
そうよそうよ、あの頃はそうだった!の連続。 
サザンのファンだという東野さん。
ミスター・ムーンライトは、ビートルズもサザンもモチーフになっていて、
愛ある傑作だと思いました。 
ミスター~~~アァァァ~~~
懐かしさでメロメロになるファンタジー。 
この話はそこにつながるのか~と、ちょっとこんがらがりそうになりつつも、
めんどうにならず、飽きさせない魅力ある作品。 
バブルもバブルが弾けるのも、庶民の私に関係なくても
今だからこそよくわかり、人につられて浮かれていたのが
何だったのかな~なんて、アホくさくも懐かしく思いを馳せました。 
悩みに答えるのが、雑貨店のじいさんから、コソドロを働いた3人の少年たちに
変わるのですが、その回答文章はとても興味深く、
少年たちの簡単で拙い文章、それでいて言い得て相談者の心に響く文章、
一方、ナミヤじいさんの方は、さすがと思える、実直なもの。
そこらへんも時代をはさんでおもしろく、楽しめました。
できすぎてる話ですが、ファンタジーと思えば、ただただ、この先どうなるの?っと
リアリティを感じつつ読めるのでした。 
というわけで、結果、おもしろかった~!!
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by kimikitak | 2013-09-03 21:40 |

銀二貫

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大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。
大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、
商人の厳しい躾と生活に耐えていく。
料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、
またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。<
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めったに手にとることのない時代小説。 
ベストセラ-にもなってたし、新聞にも紹介されてたので、
軽い気持ちで読み始めたら、先が気になってとまらない。 
鶴之助(松吉)を銀二貫で助けた和助、
大阪天満宮に寄進するための大金をこんなことに使ってしまった主に
憤懣やるかたない番頭善之助、
善之助に認めてもらえないことを悲しく思う松吉
そんな3人を軸に、この寒天問屋をとりまく人々、
すべてわかりやすい人物像で、いいもの、悪いものに分かれ、
時代劇を見るようです。
だからといって、薄っぺらではないところがまたいいのです。 
大阪商人の心意気、和助という人、先を読む力も素晴らしく、お金の使い方は
決して死に金にならず、いつも周囲をいたわることになるところは、
読みながら、先が想像できても、心地よいなりゆきで嬉しくなります。 
解説によれば、高田郁(カオル)という作家さん、
作品に登場するお料理、全部自分で作ってみて、納得いかないと執筆しないらしい。 
この度は、寒天料理、しょっちゅう寒天をふやかして格闘してたようです。 
寒天作りの製造過程も興味深く、天草と水の産地の相性や天場の様子など、
詳しく知るにつけ、寒天の奥深さに驚きましたが、その資料集めひとつも
他人任せにしないため、効率の悪い取材活動の連続の果ての作品らしく、
簡単に読んでしまうのは悪い気がするという解説者に、なるほど~と1票でした。
大阪弁の作品ですが、時代にあったことば、使いまわし、
大阪商人の気質も、ありありと描かれて、みたこともないのに昔の
風物が目に浮かぶようでした。 
この時代の火事のおそろしさも半端なく、何度となく辛い方向へいきそうで
ハラハラドキドキ感もあります。 
この作者の、みおつくし料理帖のシリーズも読んでみたいと思いました。
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by kimikitak | 2013-08-18 21:45 |

七つの会議

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トップセールスマンだったエリート課長・坂戸を“パワハラ”で社内委員会に訴えたのは、
歳上の万年係長・八角だったー。
いったい、坂戸と八角の間に何があったのか?
パワハラ委員会での裁定、そして役員会が下した不可解な人事。
急転する事態収束のため、役員会が指名したのは、
万年二番手に甘んじてきた男、原島であった。
どこにでもありそうな中堅メーカー・東京建電とその取引先を舞台に
繰り広げられる生きるための戦い。
だが、そこには誰も知らない秘密があった。
筋書きのない会議がいま、始まるー。“
働くこと”の意味に迫る、クライム・ノベル。



テレビで見始めたところ、2本みたあと図書館リクエストの原作の順番がまわって来た。
なんというへんなタイミング。 
テレビで先に見ちゃってから読むか、テレビに追いつけ追い越せで読むか
悩みつつも、そこそこいろいろ忙しくて、どうでもよくなった。 
どちらも完了して思うこと。 
原作との隔たりは、テレビでは原島こと東山紀之を主人公に仕立てていたこと。
原作では、むしろ八角や佐野の方が、濃く描けれてたような。 
テレビは、全4回なのに、とてもよくまとめてました、さすがNHK。
東山のためのドラマになってた感じではあるものの、その分惹きつける場面が多くなってました。
各人のキャラが、生い立ちからして、綿密に描かれてて、わかりやすかったと思います。 
おりしも、日曜日の半沢直樹の方も並行してブレイクしてたので、池井戸さんの本も
書店でバッチリ目立ってました。 
こちらは、下請け業者と銀行との融資関連の実態など。
半沢にしてもこちらにしても、仕事をとりまく状況が、決して甘くはないのが見てとれます。
こうした社会で働く男性たちの苦悩もはかりしれません。
テレビドラマと、原作、合わせてみることで、より臨場感のある、
おもしろみのある作品になったと感じました。 
テレビは原作とはちょっと変わってますが、
あえてどちらの方が良いということもなく、
どちらも楽しめました。 
同時進行で倍楽しめた感ありでした!
半沢直樹は、今後またさらに楽しみ。
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by kimikitak | 2013-08-14 19:40 |

ようこそ我が家へ

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真面目なだけが取り柄の会社員・倉田太一は、ある夏の日、
駅のホームで割り込み男を注意した。すると、
その日から倉田家に対する嫌がらせが相次ぐようになる。
花壇は踏み荒らされ、郵便ポストには瀕死のネコが投げ込まれた。
さらに車は傷つけられ、部屋からは盗聴器まで見つかった。
執拗に続く攻撃から穏やかな日常を取り戻すべく、
一家はストーカーとの対決を決意する。
一方、出向先のナカノ電子部品でも、
倉田は営業部長に不正の疑惑を抱いたことから、窮地に追い込まれていく。
直木賞作家が“身近に潜む恐怖”を描く文庫オリジナル長編


ここのところ、日々池井戸潤。
『半沢直樹』『七つの会議』と2本のドラマ。 
図書館からかなり前にリクエストした、七つの会議がまわって来て、
ドラマと並行して読んでるところ。 
新聞の広告で、いきなり文庫化の本書。ついついこれも買って、一気読み。 
これはかなり前の雑誌の連載に、加筆して文庫ということでした。 
昨日の半沢直樹、ドラマ仕立ては、クライマックスにやられたらやり返す、
半沢直樹の反撃が用意されてて、こんなことあり~?と思いつつも気持ちがスッキリする
仕立てになっていて、半沢にまかせとけば、すべて解決みたいな、強さがありますが、
この文庫の主人公倉田は、もひとつ線の細い、ちょっと物足りない感じで、いかにも
押しの弱そうな、マジメ1本の家庭人であり、
銀行から出向させられ、そこでも、厚顔な営業マンにしてやられても
静かに抗議する、ちょっと弱さを感じる男でした。
その倉田が、駅で珍しく順番を守らない男を注意するところから、あれよあれよと
ドツボにはまっていくのですが、そこは池井戸さん。 
きっと、良い収束を用意してくれてるんだろうなと、
安心しつつ、展開をおもしろく読みました。 
注意した男があとをつけてくる恐怖、まずはそんな恐怖に読者もはまりますが、
そのことと、出向先の会社でのトラブル、その二つを同時進行で対処していくので、
目が離せなくなります。 
重々しい感じはないので、さっくりと読めました。 
ちょっと、できすぎてる感はありますが、スピーディーに読めるし、
楽しめました。 
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by kimikitak | 2013-07-29 18:46 |

追悼者

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浅草の古びたアパートで絞殺された女が発見された。
昼は大手旅行代理店の有能な美人ОL、夜は場末で男を誘う女。
被害者の二重生活に世間は沸いた。
しかし、ルポライター・笹尾時彦はОLの生い立ちを調べるうち、
周辺で奇妙な事件が頻発していたことに気づく。
「騙りの魔術師」が贈る、究極のミステリー。
 解説・河合香織


初めての作家、名まえすら知らなかったけれど、
エンタメ友だちがまわしてくれたので。 
東電OLものは、以前、読んだ記憶がありますが、これも
あの事件をモチーフにしてると感じる出だしながら、すぐに全く別の様相を呈し、
複雑に展開。 
殺されたOL大河内奈美は、東電OLさながらの優秀でいて屈折した人物像。 
複雑な家庭環境のもと、奈美の周辺はいつも事件がつきまとい、 
不幸になる人が続出。 
奈美が殺されたことで、ノンフィクション作家たち3人がこの事件を取材しはじめる。
主人公笹尾時彦も、何か一発当てたいと、また今年賞をとった若い女性ライター、
大物のノンフィクション作家も絡み、まだ捕まっていない犯人探しを兼ねた展開となり、
読者も犯人探しを強いられることとなります。 
何しろ生い立ちから、奈美の家庭環境から、友人関係、会社の同僚など
取材対象が多く、人物相関図でも作らないと、ごっちゃになりそうで、途中
だれてきましたが、取材中にも関係者が危ない目にあったり、殺されたり、
危険をはらんでいて、はらはらさせられます。 
いいかげん誰が犯人?とイライラしますが、ミスリードにはまるまいと、
必死に犯人を想像しつつ読みました。 
こういう話にはつきものの、ちょっとムリもあったりしますが、 
最後エピローグまで気がぬけません。 
途中のだらだら感を乗り越えればおもしろいかと思いますが、
少々、読むのが大変でしたが、読み応えはありました。
東電OLとは、全く別の話。  

 
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by kimikitak | 2013-07-05 16:27 |

ぼくたちの家族

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家族の気持ちがバラバラな若菜家。
その仲を取り持ってきた母の玲子の脳にガンが見つかった。
突然の出来事に狼狽しつつも玲子のために動き出す父と息子たち。
だがそんなとき、父が借金まみれだったことや、
息子たちが抱いてきた家族への不満が露になる…。
近くにいながら最悪の事態でも救ってくれない人って何?
家族の存在意義を問う傑作長編。

]

妻夫木聡、石井裕也監督「ぼくたちの家族」で初共演・池松壮亮と兄弟に

エンタメ好きの友だちがくれた文庫。 
表紙に妻夫木・池松の顔がでんと載ってるので、いつものように配役は誰がいいかなどと
考えずに、兄は妻夫木、弟は池松でイメージしながら、電車でほぼ読んだ。
では、両親は誰がやるのかという疑問は、調べたら
小さな会社の社長だが、やがて多大な借金を抱えてしまった父“克明”に長塚京三、
突然の脳腫瘍に襲われ少女化していく母“玲子”に原田美枝子 と出てた。 
普通の家族にしては美しく、豪華メンバーです。 
『若菜玲子は、’うなぎ’という単語が出てくるのに7分かかった…』
冒頭から、目が離せない、今後を踏まえるととても身につまされるすべりだし。 
玲子のように同級生と一緒のときにこんなことになったらどうしよう~~ 
郊外タウンの住宅ローン、父親の仕事の失敗、独立、長男の中学不登校、
次男の浪人の後の東京一人暮らし、長男の結婚など、次から次に
家族の問題がてんこ盛り。
出会った頃は『にこちゃん』などと呼んでた笑みをたやさなかった夫は、
いつしか外面だけが良い不機嫌男に変わっていた。 
息子たちは出て行き、ふとしたときに差し込まれるような寂寥感におそわれる。
そんなきりきりした中、玲子は確実に壊れていくのだろうか、自ら(’物忘れ’と
検索するのはどんなに怖ろしいだろうか、などと思いながらの滑り出し。 
長男妻夫木とその妻深雪、妊娠報告の両家顔合わせで、
唐突に変なことを言い始め、全員の前で玲子がおかしいことが発覚する場面は、
映画になったら、どうだろう?役者の演技が見どころになりそうです。
長男とその嫁の今後も暗澹たる気配が…
ここからは、病気との闘い、その家族の闘いが始まります。
母の咆哮から始まって、兄の自覚、弟の希望、父の威厳、最後、ぼくたち家族と、
章が進むごとに、少しずつ光が見えてきます。 
最後に行く頃には、兄弟の嫁同士もいい雰囲気になるのですが、
この話の息詰るような、ツライ現実は、意外にどこにでもありそうです。 
この作者は、’77年生まれだからまだ30代、それにしては、
女性たちの心情もよくわかってるようで、母玲子の気持ちも
嫁深雪の気持ちも、上手に描かれてました。 
あとは、映画に期待です。

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by kimikitak | 2013-06-20 16:33 |

ピーことば

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辛口だが、愛情あふれるコメントが人気のピーコ。自身も大病を経験し、
老いへの向き合い方をシビアに考え、今を大事に「きちんと」生きている67歳。
その口から紡ぎだされる言葉には含蓄がある。
「若作りって恥ずかしいことよ」「きれいになりたかったら継続が必要。
すぐに結果は出ません」「自分を磨くための我慢は50歳からするの」
「毎日をきれいに暮らすこと。『しんどい』はタブー。
おしゃれって、結構そういうところからくるものよ」
「自分のためだけに生きていると空しさはなくならないの。
人のために生きなさい」「命に限りがあると知り、
欲を捨てて生きられるようになったの」「『いい人と思われたい』
という欲を捨てるとラクに生きられるわ」
「年をとっても幸せでいるためには、自分の中に楽しみを持っていることが大事なの」
など、ピーコの金言を集めて構成する。
マツコ・デラックス、吉行和子、奈良岡朋子との対談も収録。


カーブスの友だちが、たまにはエッセイも軽くていい、なんぞと言って貸してくれました。 
もともと、辛口ピーコのファッションチェックは大好きで、よく見てたので、ピーコの発言は
おもしろいかと。 
雑誌’ゆうゆう’に掲載されたエッセイ+対談で仕上がった本でした。 
長年の朋友、吉行和子、奈良岡朋子との対談に加えて、マツコデラックスとの対談で、
テンション上がりまくりの暴露的お話に、思わず、これは誰のこと言ってるのかな?と
興味津々となったり、おもしろおかしくササッと。 
「あれは、化け物ね。恋多き女優として有名で、昭和30年代のNHKホームドラマで有名に
なった… 今70歳くらい? 」 「もう何度もお直ししまくりだから」 ってマツコとの対談。
果てさて、この女優って誰だろうと気になることなること。 お直しの女王だそうです。 
マツコと二人で、今流行の美魔女をメッタ切り。これにはちょっとばかり溜飲がさがるような。
’哀れっていえば、有名な男と結婚したからってイバってる女も哀れだと思うの“ 
こんな調子の対談は、なかなか小気味よく感じました。 
吉行、奈良岡の大御所は、当然のことながら、すがすがしい竹を割ったような話しぶりが
素敵でした。 まさに大人の女!  
この3っつの対談以外はピーコならではの格言に、説明やエピソードつき。 
40代で眼球摘出という大病に遭遇してるからか、自分自分じゃなくて、
辛口でも優しい思いやりやフォローも忘れてないようでした。 
ピーコのことばと言っても、わりと当たり前といえばいえるような話
がほとんどですが、やはり人間の基本は普遍的なものとも思え、 
斬新なもの言いはあまりなかったです。 
たとえばこんな風に。 
「年をとって自分のことばかり話すような鈍感な人にならないために、
美術館に行って絵を見たり、...」 とか
「死ぬときは皆ひとり。私は行き倒れて死んでもかまわないと思ってるの。
そのために、身辺を綺麗に片付けて、周囲の人に負担をかけないように…」
などと、わりと当たり前のことが中心です。
ファッション指南も多く、そうそう、言い訳しきりでなりふりかまわぬままじゃ
いけないな~とあらためて思った、そんな気にもさせてくれました。 
でも、もっと厳しいかとおもいきや、それほどでもなかったのは、
少々、オバさんたちへのあきらめも入ってるかも。  
ピーコさんは本がないと生きていけないともおっしゃって、読書家のようです。
オカマが珍しかった時代の双子のオカマ、それぞれ映画とファッション、
ふたりとも今もって活躍中。 おすぎの映画評もおもしろく、
やはり才能ある双子オカマだったのだな~と、あらためて思いました。 
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by kimikitak | 2013-06-09 20:32 |

あれから

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高校一年の千幸は、父が電車内で痴漢を働き、
咎めた男性を線路に転落死させたと知らされる。
妹の夕美と協力し、父の汚名を晴らそうと独自に調査した千幸だったが、
叶うことなく家族は崩壊する。
十年後、看護師として働く彼女の前に過去を彷彿させる女性が現れ、
明らかにされた慟哭の真実。その時、千幸の胸に去来した想いは...。


友人が貸してくれた。以前にも映画で痴漢冤罪の話を見ておそろしかったけど、
こちらはどうかな?というところ。
ここは東海道線のみ、1区間も長く、通勤・通学の時間帯の密室は神経を使う。 
息子にも夫にも、痴漢に間違われないよう気をつけて!とよく言ってたものです。
この話は、私の想像とは別の展開へとどんどん進んでいくので、先が知りたくて
すぐに読めてしまいました。 
けれど、家族が崩壊するにあたってのプロセスが少々雑だったり、
感情表現が手短すぎて、納得いかない部分も多々あったのが残念。
千幸の前にあらわれる過去を彷彿とさせる女性、この女性の家庭も
みごとなまでに救われない家庭。
普通の家庭が、一瞬の出来事から耐え難い苦痛とともに未来が一変してしまい、
立ち上がることがいかに困難かを描きたかったのかとも思いました。 
ちょっと偶然も多すぎ、成り行きにもムリが多々ありますが、
最後、光が見えて、終わり方には救いがありました。 
でも、取り返しのつかない長い苦痛の期間を、共に味わったようで、
妙な疲れが残りました。 
ストーカーや、DVや、オレオレやら、最近の事件の多さといったら、怖ろしいほど。
他人事でもイヤですが、我が身にふりかからないことを祈るのみ。 
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by kimikitak | 2013-06-03 23:33 |

ハピネス

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三十三歳の岩見有紗は、東京の湾岸地区にそびえ立つタワーマンションに、
三歳二カ月の娘と暮らしている。結婚前からの憧れのタワマンだ。
おしゃれなママたちのグループにも入った。
そのリーダー的な存在は、才色兼備の元キャビンアテンダントで、
夫は一流出版社に勤めるいぶママ。
他に、同じく一流会社に勤める夫を持つ真恋ママ、芽玖ママ。
その三人とも分譲の部屋。
しかし有紗は賃貸。そしてもう一人、駅前の普通のマンションに住む美雨ママ。
彼女は垢抜けない格好をしているが、顔やスタイルがいいのでいぶママに気に入られたようだ。
ある日の集まりの後、有紗は美雨ママに飲みに行こうと誘われる。
有紗はほかのママたちのことが気になるが、美雨ママは、
あっちはあっちで遊んでいる、自分たちはただの公園要員だと言われる。
有紗は、みんなには夫は海外勤務と話しているが、隠していることがいくつもあった。
そして、美雨ママは、有紗がのけぞるような衝撃の告白をするのだった……。
「VERY」大好評連載に、新たな衝撃の結 末を大幅加筆!


新聞で見て興味をもってたところ、カーブスのエンタメ好きの友だちがまわしてくれた。
「ハマるよ~!」と言って。 
本当にのっけから最後まで、飽きることなくいっちゃいます。 
ただし、この話の主人公とママたち、私の子どもの世代ということもあるので、
ジェネレーションギャップは大きいし、ついつい姑目線にもなって見てしまいます。 
しかし、それ以上に、この主人公有沙には、同調、共感、好感どれも無理。 
桐野さんは、有沙をゆっくりと成長させていくカタチでまとめてるけど、 
いつもイライラさせられます。 
でも、私たちの子育て中にも似たようなことはあったな~と時代は違えど世の母親たちの
孤独や焦りは、そうは変わらないのかとも思えました。 
タワーマンションは、シニアになった今なら住んでみたい空中住空間。 
そこで子育てするということは、今の時代でもちょっと特殊で、
その様子もリアルで、桐野さんは相当リサーチしたものと思われます。 
これを読んでると、どんなに眺望が素晴らしくても、ホテルのようでも、
住みたい気にならなくなりました。  
角田光代の「森に眠る魚」も子育てママの話、あれは本当にあった話だし、
夢中で読める度合いも相当なもの、レベルの高い作品だと思って印象深いですが、
それに比べてしまうと、現代タワマン子育て、ちょっと納得いかない部分も多く、
浅い感じましました。  
でも、おもしろい! 
ネタバレになるので、感想もほどほどにですが、エピローグでそう来るのか?と
思っても見なかった結末にちょっとハッとさせられビックリ!  
ここに至って、いろんな問題がシッカリ見えてきて、著者のメッセージも
伝わってくる、そんな感じでした。   
姑、母親目線の私が読むのと違って、今の若い子育てママたちはこれを
どう感じながら読むのでしょう。
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by kimikitak | 2013-05-07 23:37 |

脳はこんなに悩ましい

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池谷裕二/著 中村うさぎ/著

「先生! セックスのとき脳は何を感じているのですか?」――。
「コロッと脳に騙される身体」「なぜ人は平気で嘘をつくのか」「幸福を脳はどう感じているのか」など、
心と身体をめぐる疑問はすべて脳に通じる――。
かくも不思議で悩ましい脳の世界について、作家が研究者を徹底尋問。
「赤ワイン好きの女性は性欲が強い」「脳とうつ病の関係」など、
よそじゃ絶対聞けない超アダルトな脳科学!



ラジオで池谷先生のお話を聞いて、読まずにはいられなくて借りました。 
どこが~というと、遺伝子診断でそんなことまでわかっちゃうの~?というところ。 
アメリカでは、DNA診断も値崩れが始まって、勇気あるお二人は$99で、アメリカに
唾液を送って検査を受け、その結果も本書に載せられてます。 
何がわかるかというと、病気遺伝子(アルツハイマー、糖尿病、高血圧、心疾患など)の程度、
酒好きか、ヘロイン好きか、ニコチン好きかなどや、カフェインの分解の速さまでも。
アトピーやアレルギー疾患や、敏感な痛みセンサーを持ってるか、などなど。
運動能力も、池谷先生は短距離向きで、確かに俊足だったそうです。
IQの高さ、このあたりがいちばん怖いところ。
私は絶対低めなんだろうな~
先祖のルーツ、エリアで表示され、ちなみに中村うさぎは南米系。
IQも高めだそう。 
IT機器への好みも遺伝子によって決まるとか。 
ハゲか否か、肥満遺伝子、耳あかが湿ってるか乾いてるかなど、細々としたことまで。 
浮気遺伝子を持ってる人は離婚率が高いなど、多岐にわたってます。
こんな検査は私は絶対受けたくないですが、きっと肥満遺伝子があるんだわ、と納得。
韓国でも遺伝子検査は進んでいるらしく、それに合わせた道に進ませようという動きもあるようです。
DNA整形も可能で、新種の生命体を創作できる段階にきてるとのこと、まるでSF映画のような
ことも遠からずなのでしょうか。

この検査についての他にも内容は豊富。 
IQと大脳皮質の厚さは比例して厚いほどIQは高い。
今、120ある人でも小さい頃は薄かったという、成長プロセスで
厚みは変化するそうです。 20歳すぎればただの人ということも。

報酬系(快感を生み出す脳部位)があって、他人の失敗、他人の不幸を脳は嬉しがってこの部位が活動。
嫉妬の感情があると前帯上皮質(不安に関する脳部位)が働くなど、脳ってとても正直らしいです。
所持金が増えれば、報酬系が活動!

ネットの登場で脳の使い方も変わり、記憶力が落ちるなど脳のはたらきもかわる、
でも、時代が変われば目指す方向も変わるとのこと。 
膨大な英語資料が巻末に載せられてました、いったいこの先生の脳はどうなってるんでしょう? 
〆は、神に委ねるという方向に落ち着いて少しホッとしましたが、内容が濃くてあっさり読むことは
できません。

池谷先生の、上品で知的な語り口、中村うさぎのありのままって感じの鋭い突っ込み、
対談ものはあまり読みたくないと思ったものの、このかけあいは面白かったです。
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by kimikitak | 2013-03-24 14:58 |