e0117945_1714234.jpg
暴力はやってくるのではない。帰ってくるのだ。
理不尽をかいくぐり生きのびた魂に、安息は訪れるのか。
三浦しをん、渾身の最新長編。
天災ですべてを失った中学生の信之。
共に生き残った幼なじみの美花を救うため、彼はある行動をとる。
二十年後、過去を封印して暮らす信之の前に、もう一人の生き残り・輔が姿を現わす。
あの秘密の記憶から、今、新たな黒い影が生まれようとしていた――。



桜の季節、皇居の乾門の前に並びながら、往復電車で読了。 
春のいい季節の中、またしても重苦しく激しいものを、それでも三浦しをんと思えばこそ
終着点までどっぷりとつかりました。 
まずはこの天災ですが、島を襲った津波なのです。 
そこで、発刊はいつか確かめたら2008年。  
あの津波よりも前に、こんなリアルな津波を描いてたことに驚きました。
中学生とはいえ、島という閉鎖的な環境で育つ主人公たち、少々おとなびているというか
ませた子ども。 
信之と美花は親密につきあっていて、へばりつくようについてくる輔(タスク)は、
父親から果てしない暴力を受けている。 
それがわかっていても周囲は、救うことなく見放している。 
信之は自分のそばを離れない輔を疎ましく思っている。  
そんな3人と生き残らなくてもいいのでは?の暴力父親や、美花に執着する
余所者のカメラマンなど、この先を暗示させる面々が生き残った。 
そこで起こった事件、その秘密をかかえたまま
舞台は20年後。 信之は家庭を持ち、娘も生まれる。 
美花はその美しさゆえに女優として活躍している。  
いつまでも美花への愛を全うしようとする信之。    
二人の秘密を知っている輔の影。信之の妻南海子と輔の歪んだ関係。 
輔の前にまたしてもあらわれる暴力父親。 
島でからんだ糸が、暴力と愛で、不穏な様相を呈していくのですが、 
後半はかなりハード!  
終わりに再生があるのかといえば、そういうわけでもなく... 
この先も果てしなく続く人生が残されている。  
光というタイトルは、何を意味しているのか、最後に感じることになるのですが、
なかなか複雑な思いになるお話でした。 
でも、読ませるしをん先生、実に多岐にわたるテーマにとりくまれるのだな、と
だからこそ小説家ってすごいプロなのだと、あらためて感じました。
映像化してもよさそうな作品でもあります。
[PR]
by kimikitak | 2014-05-10 18:00 |
<< 最近の食事 魚定 買い物記録 >>