ラブレス

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謎の位牌を握りしめて、百合江は死の床についていた――。
彼女の生涯はまさに波乱万丈だった。
道東の開拓村で極貧の家に育ち、中学卒業と同時に奉公に出されるが、
やがては旅芸人一座に飛び込んだ。
一方、妹の里実は道東に残り、理容師の道を歩み始めた……。
流転する百合江と堅実な妹の60年に及ぶ絆を軸にして
、姉妹の母や娘たちを含む女三世代の凄絶な人生を描いた圧倒的長編小説。


馬鹿にしたければ笑えばいい。
あたしは、とっても「しあわせ」だった。風呂は週に一度だけ。
電気も、ない。酒に溺れる父の暴力による支配。北海道、極貧の、愛のない家。
昭和26年。百合江は、奉公先から逃げ出して旅の一座に飛び込む。
「歌」が自分の人生を変えてくれると信じて。それが儚い夢であることを知りながら―。
他人の価値観では決して計れない、ひとりの女の「幸福な生」。
「愛」に裏切られ続けた百合江を支えたものは、何だったのか?
今年の小説界、最高の収穫。書き下ろし長編


読んだのは、もうかなり前、ホテルローヤルは読んでないまま、
こちらを文庫で読みました。 友だちが貸してくれたので。 
登場人物の関係が最初頭に入らず、その上、舞台があちこちに飛ぶので
前に戻って読み返したりしながらついていくのに慣れた頃、
その先がどうなる?気になる展開にようやく引き込まれ、最後まで。 
それにしても、暗く、重く、もりだくさんの不幸なできごとが用意されていて、
息苦しくなるようでした。 
巻頭の部分、死に際には、年齢以上におそろしく老婆のようになった百合江、
凄絶な人生を予想させるものだったので覚悟はありましたが、まさに
波乱に満ちた、幸せが向こうから舞い込んでくることもなく、あてどなく、
それでも強く諦めることもなく、自分の人生を受け入れて前を見るたくましさに
感じ入り、生半可でない生き様に圧倒されました。 
旅芸人、流しの歌手、旅館の女中、得意の洋裁、など特技が身を助けつつも
であう男すべてが、不甲斐なく、愚かだったりで、本当に運のない女性なのですが、 
そうした中にもいつも自ら希望を見出す姿にほろりとします。
一方、妹の理恵、こちらも、一筋縄ではいかない人生を強いられてます。
また、二人の母親もまた、北海道の開拓村で、どうしようもない夫のもと 
人格を失ってしまうような人生を。 
たくましい女、あられもない男。 そんな対比も味わいつつ、かなりの読み応えを
感じました。 
フィナーレはなかなか、思いがけないもので、全体としておもしろく仕上がっている
と思いました。 
他の著作も読んでみてもいいかなと思いました。
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by kimikitak | 2014-05-08 10:58 |
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