平成猿蟹合戦図

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新宿で起きた轢き逃げ事件。平凡な暮らしを踏みにじった者たちへの復讐が、
すべての始まりだった。
長崎から上京した子連れのホステス、事件現場を目撃するバーテン、
冴えないホスト、政治家の秘書を志す女、世界的なチェロ奏者、
韓国クラブのママ、無実の罪をかぶる元教員の娘、
秋田県大館に一人住む老婆…心優しき八人の主人公が、
少しの勇気と信じる力で、この国の未来を変える
“戦い”に挑んでゆく。
希望の見えない現在に一条の光をあてる傑作長編小説



新聞の日曜日の書評は楽しみのひとつ。 
読書委員の小泉今日子
鎌倉古民家ドラマも終わり、しばらくぶりの
小泉書評、きょうは『きなりの雲』石田千著。 
いつも思う、彼女はとても書評が上手!女優で読書家、まっすぐで
読みやすい文章は、読む気にさせます。 
というわけで、この『平成猿蟹合戦図』もだいぶ前だけど
小泉書評を読んで、リクエストを出したのでした。
私は書評は書けないので、一言でいうと、まずまずのおもしろさでした。 
三幕からなるこの話、最初は「悪人」のように、どんどん暗い方向に行くのかと
心を痛め、八方塞がりにドキドキし、これは収束させられないのでは?という
懸念も三幕目は丸くまとめて落着。 吉田修一がおとぎ話と
言ってるように、途中からメルヘンぽさを感じ、悪人のようなハラハラ感は
消えてしまいました。
歌舞伎町という夜の街の底知れない不健康さと対照的な秋田大館市という
牧歌的な風景が、登場人物たちを明るく変化させていく様子が爽やかでした。 
秋田弁の表現が、また和みます。「...だびょん」というのは、よく使われるのでしょうか。
よく出てきました。 
登場人物は、どの人も素敵に変化していきますが、
なかでも秋田の96歳のサワおばあちゃんは、魅力的で、
このサワさんを、最後に悲しませないで欲しいと願いました。 
数々の興味のツボがちりばめられていて...たとえば、不正政治資金疑惑の
代議士先生はあの人かな?とか、渋谷から少し離れたところにある70年代
活躍した歌手のもちものだった一軒家の歌手とはあの人かな?などなど、
ところどころリアルでそそられ、楽しんで読んだのは確かです。
夜の歌舞伎町も学習になりました。
まずまずおもしろいというのは、途中から思いもかけない方向へいくのはいいけど
いき過ぎかな~、そんなうまくいくかな~とひねくれて読んだからです。
でも、
この話も映画になってもよいかと思いました。   
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by kimikitak | 2012-05-06 23:28 |
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