かばん屋の相続

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池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。
残された2人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、
「相続を放棄しろ」と語り、
遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。
乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。
父の想いはどこに? 表題作他5編収録

 
短編ながら、どの話も内容が濃くておもしろいです。
銀行の融資や手形のことなど、ここのところ池井戸さんのおかげで
少しずつわかるようになってきました。 
今回は、大田区の中小企業相手、大手銀行だったり、地元信用金庫の
職員が各々主人公になってますが、大田区は私の出身地なので
なんとなく背景も目に浮かぶようで、ことにリアリティがありました。 
池井戸さんは、あのあたりの支店に勤務したことがあるのだろうか?
と思えます。
融資をするか見送るか、バンカーの葛藤の中、
見えてくる事情が多々あって、先を読むのにドキドキします。 
そこには、想像以上のからくりがあったりして、意外性があって
とてもおもしろいです。
手形や稟議のことがあるので、もらさずシッカリ読まないといけません。
銀行内部の人間関係も描かれていて、
ことにワルモノ上司がやっつけられるのはスカッとします。
銀行員とその妻、銀行内恋愛など、盛り込まれてるので
おカネのこと以外もなかなかおもしろいのです。
表題作の《かばん屋の相続》
これは、タイトルをみただけで、あ~、あれだな、と思ったのですが、
京都の一澤帆布、解説にもあるとおり、あの争いのことに着想を得たようでした。
この本では、場所は池上。 
京都で、わざわざ私も買った丈夫な袋、その頃は争いもなかったわけですが、
この本の結末とはまた違うドロドロがあるのでしょうか、
今はあのお店どうなってるのかな?とふと思いました。
軽く読める一冊ですが、着想豊かでひきつけるストーリー、
2005年~08年にオール読物に掲載された作品ということです。
一方で他の長編も書きながらは大変なこと、池井戸さんさすが! 
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by kimikitak | 2011-10-31 22:24 |
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