青い鳥

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村内先生は、中学の非常勤講師。国語の先生なのに、
言葉がつっかえてうまく話せない。
でも先生には、授業よりももっと、大事な仕事があるんだ。
いじめの加害者になってしまった生徒、父親の自殺に苦しむ生徒、
気持ちを伝えられずに抱え込む生徒、
家庭を知らずに育った生徒―後悔、責任、そして希望。
ひとりぼっちの心にそっと寄り添い、
本当にたいせつなことは何かを教えてくれる物語。


たいていの重松ファンの方は、もうとっくに読んでられると思います。
アリスさんのところでもレビゅーを拝見したような。
今頃になってブックオフで買った文庫で読んでよかったことは、
重松氏の文庫のためのあとがきが掲載されてること。 
さまざまな理由からひとりぼっちになってしまった生徒に寄り添う村内先生、
8編の連作ですが、どの状況も辛かったり、悲しかったり、
解決や出口があるのかなと、胸が痛くなります。  
どの章も、こんなとき周囲の大人はどうすればよいのだろうと
問いかけながら読みますが、やはり答などでてきません。
影のように登場する吃音の村内先生。 
もうこの先生に託すしかありません。
あとがきによれば、初めてヒーローの登場する物語を書きました...
といっても、きっと多くの人は納得してくれないだろう。 という書き出し。 
無力で不格好、憧れの存在というにはほど遠い。 それでも、ヒーローを
書こうとしたときには、村内先生はすでに胸のなかにいた、とのこと。
しゃべろうとすると言葉がつっかえてしまう人を書いたのは’きよしこ’
に続いて2作目だそうで、なぜ繰り返し書くのかというと
重松氏自身が吃音だから、という答え。 
「吃音というコンプレックスに押しつぶされた形で教師になることをあきらめた
僕の、ありえたかもしれないもうひとつの人生を村内先生に託したかった...」 
そうだったのか、重松清はもしかしたら、教師が聖職になっていたかもしれないの
ですね。
読んでいて、村内先生はかっこよかったです。 
村内先生ならなんとかしてくれる、本当にこんな先生が実在したら、と
思わずにはいられませんでした。 
先生自身の、私生活は全くわかりません。 
寄り添っては、次の場所へ行ってしまう先生。 
影のように、次の場所へ。 
何かの折りに、また村内先生が登場して欲しいと期待してしまいます。 
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by kimikitak | 2011-10-22 17:30 |
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