果つる底なき

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「これは貸しだからな。」謎の言葉を残して、
債権回収担当の銀行員・坂本が死んだ。
死因はアレルギー性ショック。
彼の妻・曜子は、かつて伊木の恋人だった……。
坂本のため、曜子のため、
そして何かを失いかけている自分のため、
伊木はただ1人、銀行の暗闇に立ち向かう!
第44回江戸川乱歩賞受賞作



先日、直木賞を受賞した池井戸潤氏の
1989年乱歩賞を受賞した作品。 
文庫解説(郷原宏)によれば、池井戸氏は
子どもの頃か乱歩賞をとって推理作家になるのが夢だったとのこと。 
ついには直木賞もとったのだから、新聞に載ってる著者の顔も
ことのほか嬉しそうにみえました。
アリスさんのご紹介だ池井戸潤作、かなり読みましたが、
これがいちばん古い作品でした。
初期のものなので、かなり力が入ってる感じがします。 
ちょうどバブル末期、銀行にも不祥事の多い時期。
不良債権、手形、不正融資、など、お金系に弱い頭には
少々難しく理解しにくいところもあり、少々読みにくく、
息切れしながら進みました。
かつての恋人曜子というのが殺された同僚坂本の妻という
設定は、ちょっと思わせぶり過ぎかと思いました。
度重なる危険な目にあう主人公伊木、警察は後手すぎるのでは?
などなど、ちょっと突っ込みどころもありました。 
銀行内部の腐敗、派閥、出世欲などおぞましいことが
ひととおり出てきてとても興味深いです。  
半導体という「形も概念もないもの」にからむ夢と大金の流れ。
私利私欲、果つる底なき暗澹たるもの… まさにダークサイド。 
それにしても、いってきますと言って仕事に出かけた銀行員が
殺人に巻き込まれるなどとは。 
幼くして母親をなくし、孤独な伊木の
「幸せといえる時期は、一生のうちどのくらいあるのだろうか」
というのは印象的。 
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by kimikitak | 2011-08-28 13:02 |
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