定年ゴジラ 

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開発から30年、年老いたニュータウンで迎えた定年。
途方に暮れる山崎さんに散歩仲間ができた。
「ジャージーは禁物ですぞ。腰を痛めます。腹も出ます」
先輩の町内会長、単身赴任で浦島太郎状態のノムさん、
新天地に旅立つフーさん。
自分の居場所を捜す四人組の日々の哀歓を温かく描く連作。
「帰ってきた定年ゴジラ」収録の完成版。

定年ゴジラ 1998年3月
帰ってきた定年ゴジラ 2000年 
 
 
主人公は42年間勤めた銀行を定年したばかりの山崎さん。 
長い散歩から帰ってきた山崎さんの嘆きから始まる。 
25年前に山崎さんが決めた家は、東京の西のはずれのニュータウン。 
同じような一戸建てが建ち並ぶ静かな街。 
山崎さんは、定年してこの町を散歩してみて初めてこの町の退屈さに
愕然とする。こんなの人間の住むところじゃない! 
すると奥さんに、
「この家を建てるとき、あなた、こういう静かな街で老後を過ごしたい
って言ってたのよ、忘れたの?」とやられてしまう。
こんな会話が随所にでてきて、思わずにんまりとしてしまいます。 
重松さんの文庫化にあたってのあとがきによれば、
ご自身も29歳の頃から、トウのたった住宅地で暮らしているとのこと。
その暮らしの中からヒントを得、父親の定年とも重なり、
周囲を観察しつつ、30代前半でこの物語を書いたそうで、
それは、非才を顧みない無謀な試みで、ある種の不遜な行為であるとも認めていらっしゃる。
読む方としては、30代で父親世代の家族のこと、夫婦のこと、
定年後のリアルな生活を事細かに描けることにびっくり、
すごいと思いました。
この話は我々の世代より、10数年前の世代、濡れ落ち葉とか粗大ごみなど
とさかんに騒がれた世代だと思う。 
今にして思えば、幸せで平和な時代と思えてなりません。
もちろん、日本を支えてきたお父さんたちの大変な努力の日々に敬意を
払いたいと思いますが。
帰ってきた定年ゴジラでは、定年から2年たって、初めてのパソコンに
悪戦苦闘。それでも世界は広がっていき、ニュータウンのホームページを
作るのも夢じゃない。 
あの愕然とした日から、仲間ができ、ゆっくりと流れる時間の中に
さまざまなできごとが実に盛りだくさんにでてきます。
心に沁みる言葉もたくさんでてきて、
妙に納得しながら、おもしろく読みました。
 

  
   
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by kimikitak | 2011-06-24 18:06 |
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