星宿海への道

e0117945_21242844.jpg中国旅行中に砂漠近郊の村から、
自転車に乗ったまま忽然と姿を消した瀬戸雅人。
彼の帰りを待つ千春と幼子せつ。
血のつながりのない弟・紀代志がその足跡を辿るうちに
明らかになる兄の人生―。
少年期からの憧れ、黄河源流にある「星宿海」とは?
雅人が抱いていた戦後から現代に至る壮絶な人間模様を、
抒情豊かに貫く感動巨編。


マサトと足が悪く盲目の実母は、物乞いの母子として橋の下で暮らしていた。
悲惨なはずなのに楽しそうで、ある種の荘厳さすら漂っていた。
そんなマサトは、昭和30年、実母の死後、瀬戸家の養子となった、
という設定は、私の育った年代とも近く、リアルでもありながら
ミステリアス。
登場人物も多く、さまざまな事情をかかえ、それが複雑にからまり、
思わぬ方向に展開していき、久しぶりに読み応えを感じました。
舞台は大阪で、登場人物の会話は大阪弁。
なじんでいない大阪弁は過酷な状況も、やわらげてくれる。
マサトが終始こだわっていた『星宿海』
中国・青海省の西、崑崙山脈の東端に、
箪の形として表現された星宿海は、
高い場所から見渡しても到底視界が及ばないところにまで大小さまざまな泉が
あって、そこから絶えることなく泉水が噴き出て、それは昼でも光の加減で星々であり、
それら一帯を 星宿海といつしかよぶようになった。

と文中にもでてくるこの黄河流域の湿地帯、
見たことのない煌く風景もイメージしながら進めます。
それに、千春とせつ母子のキャラクターにも救われ、
母子をとりまく人々にも、心温まるエピソードが加味されて 
読後感は、スッキリするものでした。
肝心のマサトは? 
それは、各々が読み取るのだろうと思います。  
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by kimikitak | 2010-03-20 22:31 |
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